映画「第9地区」の感想

映画

第9地区 [Blu-ray]

いま一部で話題の映画「第9地区」を見てきたよ。

この映画は新人監督が、無名の役者を使って、南アフリカを舞台にして「未知との遭遇」を描くモノです。「新人/無名/南アフリカ」の時点で「大丈夫?」な雰囲気なのに、制作費も30億円とVFXを駆使する映画にしては少なめ。

だけれど映画評論家や映画好きな人たちから高評価を得て、100億円以上の興行収入を達成。しかも第82回アカデミー賞の4部門にノミネートされるという偉業を成し遂げました。

そんな感じの本作に関し、以下に粗筋を含む感想を記述します。帰るなら今のうちだよ!

あらすじ

グロイET。

感想

新しいし興味深い。だけどそこまで、だな。点数をつけると100点満点で70点ぐらい。

異星人が敵でも味方でもなく共生しており、それも人類と友好的な共生ではなく、アパルトヘイトを思わせる「第9地区」に隔離される共生と言う目新しさ。

また前半のドキュメントタッチな描写でも、異星人が異星人たり得る理由/説明もなしに、ただ単に弱いモノとして迫害される様を描くのもビックリだね。

後半の親子との出会い後は「ドンパチ」になっちゃうのがハリウッド的で、もっとシリアス調でも良かったのかな、と思う。

で、「新しいなー、どうなってんだろうなー」という感想は持ったけど、そこら辺に関する説明がないのが評価が低い理由。

疑問点

以下、大幅なネタばれを含む疑問点の羅列と考察なので、映画を見た人以外は読まない方が良いと思う。

なぜ地球に来た?

根幹に関わる大きな疑問だけど、なぜ地球に降り立ち、しかも自分たちからは外に出ず、人間たちに引きずり下ろされるのを待っていたのか?

単なる食糧不足なら、武器を使って猫缶を奪えば良かったんじゃないの?

なぜ人間に従うのか?

高い技術力を持っているのに、なぜ人間に従うのか?

コッソリと「燃料」を集めていたけど、なんで武器を活用して強制徴用しなかったの?

武器のDNA認証は何のため?

「種に対する認証」があるってことは、反目する別の種がいるからこそロックをかけてるんだよね?

それは恐らく人類ではないと思うんだけど、そこら辺に関する描写もナシ。

なぜ言葉が通じるの?

エビは英語を話してなかったと思うんだけど、なんで言葉が通じてるの?

テレパシーにしては「口語」の体で表現されるのが不思議。映画的に楽な見せ方をしたかったのかも知れないけど、もしそれだけの理由ならSF映画としては失格だよね。

エビがしゃべってるのは、非常に変わったアクセントの英語なんだって。

エビは雑食なの?

猫缶や肉類、果ては人類も食べていたけど、「ゴムが好物」なる描写もあったよね?

人類と似た食性を持つのに「ゴムが好物」は、さすがにちょっと突飛過ぎじゃない?これも確たる理由が無く「エイリアンっぽい」ってだけの理由なら、SF映画としては失格だよね?

彼らも人間なの?

これも根幹に関わる大問題だな。ヴィカスがエビに変態したんだから、エビである彼らも「人類」から変態した可能性もある。

特に親子のエイリアンに名前があったのも不思議。「クリストファー」と言う名前は誰がつけたんだろう?

もし「本名」だとすると、もしかすると彼らも「人類」なのか?

「未来から来た人類」説も考えたけど、それにしちゃ過去に干渉しすぎでタイムパラドックス起こしまくりだよねぇ…

次作に期待

以上を踏まえての総合的な感想は「次作に期待」と言うことになります。

本作の好評を受け、次作以降は制作費が大幅アップ!前作の謎が次々と解明され、結末はアッと驚く素晴らしい締め!とかだったら、本作を含めて「神映画」たり得る可能性はあると思う。

「3年後」が2012年なのも興味深い。もしかすると「2012年地球滅亡説」を踏まえた次作への前振り?だとしたら、さらに期待は高まるなー。

そんな感じで、映画が好きで劇場に赴くのも苦にならない人なら見ても良いかも。言うほど映画は好きじゃないとか、家で見られればいいよ、なんて人は、もうちょっと待ってても良いですよ。