STUDIO HINOKIでTAD-R1を試聴してきた(後編)

TAD-R1と私

パイオニア本社内にあるハイエンドAV視聴室「STUDIO HINOKI」にお邪魔して、ペア定価630万円のスピーカー『TAD-R1』(TAD Reference One)を聴いてきたよ、と言うお話し。このエントリは『STUDIO HINOKIでTAD-R1を試聴してきた(前編) – Hinemosu』の続きになります。

さてさてTAD-R1の感想ですが、まず最初にお断り。おいらはこのクラスのスピーカーは初めて聴くので、他との比較は出来ません。なので相対的な感想ではないことにご注意下さい。

TAD-R1を聴き始めて、まずは定位の良さに驚かされた。「音にもピントがある」とは聞いてたけど、ここまで違うとは想定外。ドラムの場所、ピアノの場所なんてレベルではなく、ドラムのシンバルとタムが違う場所にあるのが分かる。「シャーン」と「トゥン」が違う場所にあるんだよ!これを聞いた後だと我が家のHELICON 300なんてボケボケの写真みたいなモンだわ。

それと音の再現性がハンパねぇ。これはちょっと言葉で説明するのが難しいけど、ピアノはピアノだし、ドラムはドラムだし、ギターはギターなんだよ。特にスピーカーでピアノが再現できるとは思っても見なかった。

ピアノってさ。スピーカーには厳しい楽器らしくて。あいつに鍵盤がタクサン付いてるのは知ってるっしょ?アレの一番下って27.5Hzだし、一番上は4186.009Hzまで出る。そんだけ広い範囲が出せるのに、「ジャーン」って感じでゴチャッと音を出せる。それに対してスピーカーは3つか4つの円板が震えるだけ。これでピアノを再現できるわけがない。

だけどTAD-R1で聞くと、そこにピアノがあるように思えた。もちろんいつもピアノを聞き慣れているような人なら「スピーカーの音」なんだろうけど、素人のオイラならカーテンで目隠しされてたらピアノがあるって信じちゃうぐらい。それぐらいTAD-R1の再現性はスゴかった。

再現性が高いお陰で、録音の良いJazzやサザンオールスターズ、あと平井堅なんかはサイコーに良かった。特に平井堅の『キミはともだち』は、630万円のスピーカーで再生する価値のある曲だった。

もし『キミはともだち』を持ってるなら最初の10秒ぐらいだけでも聞き返してみて欲しいんだけどさ。途中で平井堅が「スハッ」って感じで息を吸うでしょ?この呼吸音がリアルすぎて、ホントに空気が引っ張って行かれるような感覚になる。他にも指パッチンはバッチンバッチン跳ねてるし、絶対にそこで手を叩いてるって!って言いたくなるぐらいリアルに手拍子が聞こえる。ずっと前にT-3Gで聞いた平井堅もスゴかったし、平井堅の中の人はマジでスゲえ。そんなわけで平井堅はスゲェと、改めてリスペクトしておきたいと思います

たださ。

再現性が高すぎるのも問題と思える場合もあってね。持って行った音源のウチ、半分ぐらいは録音の悪さが露呈する形になっちゃった。個別の曲の感想は別項に述べようかと思うけど、Def TechやHilary DuffなんかはTAD-R1で聞くべきじゃないと思ったよ。このレベルのスピーカーはモニタとかリファレンスとして使うには良いけど、J-Popなんかの普段聞きには向かないね。

それと思ったより女性ボーカルが冴えない印象だった。だけど比較対象がないので、ソースが悪いのかシステムが悪いのか判別できないのが残念。機会があれば同クラスのJBL DD-66000あたりと聞き比べてみたいもんだなぁ。

そんな感じで長々と書いてきましたが、まとめると「良い経験だった」と思います。システムで1,000万クラスの高級オーディオを、環境の良い視聴室で大音量で1時間も聴ける。これは今後の音楽人生において、良い基準たり得ると思います。手間を考えると万人には勧められませんが、オーディオに興味があるなら一度ぐらい訪れてみると良いかも知れませんね :-)