「ダダ漏れ」の意味、語源をまとめてみた

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最近、Twitter上で「ダダ漏れ」という言葉が散見されるので、その成立過程を踏まえて意味・語源などを考察してみようと思います。

「ダダ漏れ女子」誕生

そもそもの発端は『自分の「今」がダダ漏れな子のブログ:小鳥ピヨピヨ』のようです。この記事で「トミモトリエ」さんが、自分自身の動画をリアルタイムでずっと配信していることを紹介し、その様子を『自分の「今」がダダ漏れな子』とまとめています。

その後、『ダダ漏れ女子2号、登場:小鳥ピヨピヨ』と言う記事で、ダダ漏れ女子第2弾として「そらの」さんが紹介されています。

このような経緯から、「トミモトリエ」さんや「そらの」さんのことを「ダダ漏れ女子」と呼ぶようになりました。

「ダダ漏れ」という行為

「ダダ漏れ女子」の認識が広がると同時に、彼女たちの行動全般にも「ダダ漏れ」という形容詞が使われるようにもなりました。

例えば『【Web】ダダ漏れ増殖中 ツールも向上、広がる可能性  (1/2ページ) – MSN産経ニュース』では、「私生活の映像などをネット上にさらす“ダダ漏れ女子”が静かに増殖中」、「ブロガーへのインタビューや各種イベントなどをライブ中継している。動画配信サービス「ユーストリーム」を活用する“ダダ漏れ広報”としてネット上で注目を集めている。」と紹介されています。

記事にもあるように、この時期「そらの」さんはユーストリーム(Ustream)と言う動画配信サービスを利用して、イベントやインタビューを生中継していました。この行動は「そらの」さん自身により「ダダ漏れust」と呼ばれており、ネット上で注目を集めていたのは事実だと思います。

「ダダ漏れ」=「Ustream」?

そのような状況の中、ソフトバンク社がUstream社に18億ドルの出資を行い、一躍「Ustream」と言う単語が注目されることとなりました。

しかもソフトバンク社が行った決算説明会がUstreamを使って生中継されることとなり、殊更に「Ustream」が注目されていきます。

そんな中、渦中の人である「そらの」さんが「Twitter / そらの: ソフトバンクさんの発表がこちらのUstでダダ漏れされ …」と発言しています。

恐らくこの時期に「Ustream」のことを知り、「ソフトバンクさんの発表がこちらのUstでダダ漏れ」と聞いた人は、「Ust=ダダ漏れ」と誤って覚えてしまったのではないでしょうか。

「ダダ漏れust」が独り歩き

その影響なのか、それとも時流に乗ろうとキャッチーな言葉が欲しかったのかは分かりませんが、一部の人たちがUstreamで生中継する行為自体を「ダダ漏れ」と形容するようになりました。この一部の人たちの行動により、ますます「Ust=ダダ漏れ」と言う認識が広がったように思います。

最終的なダメ押しとして、「そらの」さんにより「ケツダンポトフ – 第一回 朝までダダ漏れ討論会、略して『朝ダダ』やります!」と言うイベントが開催されました。このイベントには田原総一朗氏や津田大介氏を初めとした有名人が多数出演すると言うことで、ネット上で非常に注目を集めるイベントとなりました。

注目を集めたのは良かったのですが、ここで「ダダ漏れ」と言う単語が「そらの」さんに掛かるものではなく、「Ustream」に掛かるものだと誤認された方が多くいたように感じます。

例えば「テレビが「ダダ漏れ」になる日 – 日経エレクトロニクス – Tech-On!」では『インターネットで流行しつつつある,イベントや記者会見などの生中継』のことを「ダダ漏れ」として紹介しています。

このような流れで「ダダ漏れ=Ustream」と言う誤認が広まったのではないかと思います。

「ダダ漏れ」と言う単語の語源について

「ダダ漏れ」と言う言葉自体は、1990年代には存在したようです。

だだ漏れ【だだもれ】の意味 – 国語辞典 – goo辞書」を見ると、新語として登録されており、意味は『とめどなく何かが漏れること。「情報が __ だ」』と定義されています。

また「だだ」と言う言葉の意味を調べたところ、「だだくさ・飛騨方言」に「飛騨方言で、ぞんざい 乱雑 粗雑 いいかげん そまつ、などの意味で用いられる」との記述と共に「だだ、とは、だだっぴろく、だらだらと、という意味でしょう」とも書かれています。

だだくさの意味 – 国語辞典 – goo辞書」を見ると近世語(江戸時代の言葉)として「だだくさ」が登録されており、意味は「雑然として整理のゆきとどかないさま。ぞんざい。」と書かれています。

このあたりのニュアンスから「だだ」が一人歩きを始め、「だだ下がり」や「だだ漏れ」と言った近代語が生まれていったのではないかと考えます。